Text & Photo: Atsuko Tanaka

Renee Couto in Shinjuku


―今日のファッションのポイントを教えてください。

原宿ギャルとアニメをミックスしたの。アニメのキャラクターみたいに見えるように色々やるわ。髪の色は毎月変えてて、今月は赤。ネイルもそれに合わせて変えてる。カラーコーディネートが好きなの。あとは白黒も好き。高校の時に習ったタオ教に影響を受けてて、ファッションにも反映させてる。

―最近好きなブランドやファッションスタイルは?

私のスタイルは基本ダークで、最近はゴス系も好き。ブランドで言うと、大きなブランドはみんな着てるし、他と似たようなスタイルになっちゃうからあんまり買わない。アンダーグラウンドのブランドをサポートしたいと思っていて、Dolls KillやGrave Wonderland、NAMED COLLECTIVE®とか、中国のSHEINとかもよく買ってる。それから友達がやってるKikis tireはアニメキャラの洋服を作っているブランドで、ナルトのセットをもらって、すごく気に入ってるわ。

 

―Reneeさんの今のファッションスタイルはいつ頃から始まったんですか?

お金を稼げるようになってからね(笑)。こんなふうな格好をしたいとずっと思ってたけど、お金がない時は出来なくて。2020年にカリフォルニアに行ってからさっき言ったようなブランドを着だすようになった。その後アトランタに戻ってからは、私の格好に対して人がどんなリアクションするかちょっと怖かったけど、私は人と違うのが好きだから気にしないようにしてた。結構褒められることも多かったけどね。

―きっかけは元々アニメが好きだったんですか?

そう、小さい頃は兄弟と一緒に「ドラゴンボールZ」や「ガンダム」を観たり、当時流行ってた「ポケモン」、「カードキャプターさくら」、「セーラームーン」とかも好きだった。アメリカのアニメって大体ストーリーがないものが多いけど、日本のアニメはストーリーがあって、メッセージや意味が込められていて、いつも自分らしくいることだったり友情の大切さを教えてくれる。それでどんどん好きになっていったの。小学生の頃は1日中自分の部屋のコンピューターでアニメを観てたわ。

 

―本当にアニメ好きだったんですね!では、世界で一番オシャレな人が多いと思う街はどこですか?

中国かな。すごくおしゃれな人が多くて、クレイジーで美しいイメージ。インスタで中国のおしゃれな人たちの動画を見て、すごいかっこいいと思った。あとは日本やフランス、イギリス、韓国とか。もちろんニューヨークもおしゃれな人を見るけど、海外から来てる人が多いから、本当はどうなのかな(笑)。

 

―Reneeさんの、ファッション・ビューティーで欠かせないアイテムはありますか?

ネックレスは絶対!小さい頃からママにシルバーとかゴールドのアクセサリーをもらってつけてたの。だからネックレスをつけてないと裸みたいな気分(笑)。ビューティーに関しては、アイライナーとつけまとリップグロス。

―今後挑戦してみたいスタイルは?

すごくガーリーなスタイルとかやってみたいな。たまにキュートなのも着るけど、黒が好きだから、結局いつも黒に落ち着いちゃう。もしくはエレガントでリッチな感じ、ショートネイルでシンプルなドレスとかもいいかも。年齢を重ねたらそういう大人なスタイルはしてみたいと思う。

 

―東京の街や人々に対しての印象を教えてください。

大好きよ、最高!日本人は思慮深くて、バランスが取れてる人が多いと思う。街のシステムは、いろんなことがちゃんと考えられて作られていることに感動するわ。ファッションで言うと、いろんな人やスタイルがあると思う。スーツを着てる人をよく見かけるけど、ビジネスカジュアルから、ギャル、ロック、Y2Kとか、どれもいい。全部デザインがよく考えられているし素敵。私のママはブラジルからアメリカに移民して私たち兄弟を育ててきたんだけど、私はできれば日本に住んでみたいと思ってる。

 

―そうだったんですね!てっきりアトランタで生まれ育ったのかと思ってました。

ううん、ニューヨークで生まれて、ニューヨークとフロリダで育ったの。アトランタに引っ越したのは21歳の時。フロリダで音楽でやっていくのは難しくて。アトランタはフロリダから近いし、いろんなチャンスがあって、黒人が多いから、ヘアやビューティー系のアイテムとかゲットしやすいし住みやすかった。それにお金も稼ぎやすい。

―アトランタに移って最初の頃はどんな仕事をやってたんですか?

最初はクラブでボトルガールとして働いていたんだけど、ボスと色々あって、辞めた後は行く先もないし貧乏に戻って、友達のところに居候させてもらった。そのあと新しいチャンスを求めてLAに移ったら、パンデミックになってさらに貧乏に(笑)。当時はみんな貧乏だったからあまり気にしなかったけど。それで2021年にアトランタに戻って、弟の家や友達の家に居候させてもらったんだけど、もう貧乏はこりごりと思ってウーバードライバーを始めたの。働きまくってめちゃ稼いで、やっと自分のアパートを見つけて、それからは最高。

 

―その時のハードワークがあったから、こうして今回日本でのライブ招致に繋がったんですね!先日のTrap Sushiでのライブの反響はいかがでしたか?

最高だったわ。私が日本語で「ステージの方に近づいて」とか「よろしく」って言ったらみんな喜んで、すごく盛り上がってくれて、めちゃ楽しかった。いろんな人に写真を撮ってくれって言われたり、「ON THE RADAR」に取り上げられたのを観たよ!って言われたり。

 

―Trap Sushiには前にも出演したことがあるんですか?アトランタでは人気のイベントなんですか?

うん、すごく人気のイベントよ。私はアトランタで気が合う人をなかなか見つけられなかったんだけど、彼らはファミリーみたいに接して仲間に入れてくれて、いろんな機会をたくさんくれた。Trap Sushiは、黒人と日本人の文化のミクスチャーで、ラップ、トラップ、アニメソングも流れたり、寿司も食べられるのよ。ウエェルカムなバイブスだし、みんなと日本に一緒に来れて嬉しい。

―ちなみに、今のアトランタのヒップホップシーンはどんな感じですか?

アトランタはクールで楽しい街で最高だけど、いろんな人がいる。自分のビジネスを成功させようと真剣に頑張ってる人たちもいるし、「アトランタブラックハリウッド」って言われるように、高価なジュエリーやダイヤモンド、ハイブランドの服を身につけて、見せつけてる人たちもいる。私はいろんな経験をしたから、そういうことに振り回されないように、自分のやるべきことにフォーカスするようにしてる。人を見極めるのが大事ね。

 

―今の時代、ラッパーとしてサバイブしていくために必要なスキルや才能はどんなことだと思いますか?

ラッパーになるんだったら自信を持って自分を表現することね。いろんな人が罠を仕掛けてくるから。ニューヨークもそうだけど、アトランタは特に周りに騙されずにしっかり自分の足で立たないと。何事もちゃんと確かめることが大事。私も昔は色々試されたこともあったけど、学んだから今は大丈夫。大変だけど、経験を積んで学んでいけば問題ないわ。

 

―では、Reneeさんの音楽のスタイルを一言で表すとしたら?

“Very expressive(豊富な表現力)”かな。私の音楽を通して、あらゆる感情を感じてもらえると思う。私が傷ついてる時、キメてる時、嬉しい時、怒ってる時、どの曲もその時の感情とマッチしてるからダイバーシティがあるの。ちなみに私は水瓶座で、水瓶座の人って自分の感情を口にしないって言われているけど、私は代わりに曲にしてる感じね。日記をつけてるようなもの。昔はよく絵を描いていたけど、音楽をやるようになって気分がもっと楽になった。

―これからコラボしてみたいアーティストやプロデューサーはいますか?

いっぱいいるけど、Future(フューチャー)とYoung Thug(ヤング・サグ)は大好き。彼らって何も気にせず、なんでも曲にする。今の音楽って良くないって言われることがあるけど、音楽はその人がどう感じるかが大事じゃない?例えばFutureはグッチのバケハの曲を作って、ただそれについてラップしてる。Young Thugは歌えるから、セラピーみたいなものなのかな。あとはYeat(イート)も好き。日本人だと、宇多田ヒカル、FLOW(フロウ)、LiSA、Creepy Nuts(クリーピーナッツ)とかはいいわね。日本人の音楽を作る才能はすごいと思うわ。それからアニメの「満月を探して」っていう曲を歌ったシンガーも好き。昔、彼女の歌声にめっちゃインスパイアされたの。彼女とできたら最高だけど、残念ながらもう歌ってないみたい。

 

―では、直近の目標を教えてください。

今年はガチでやる年。これまではアップカミングだったけど、来年までに私の存在をもっと多くの人に知ってもらう。ON THE RADARに出て、より私の作品が認識されて、今いい感じに来てると思う。ありがたいわ。作った曲が他の人にいいって思われなかったらどうしようって怖くなる時もあるけど、気にせず自分の音楽を作り続ける。みんなにサポートしてもらえたら嬉しいわ。

―近いうち、アルバムを出す予定はありますか?

アルバムってみんなに期待されて出すもののような気がしていて、私はまだファンベースが確立されてないから、タイミングがちょっと早いかなと思ってる。3〜5曲くらいのミックステープとかだったらいいかもだけど、今はシングルをいいペースで出すことが大事ね。

 

―今回東京にいて、曲作りにインスパイアは受けました?

うん、例えば電車に乗って、ショーに出て、MV撮影をやって、とか、カフェでリラックスして、コンビニでコーヒをゲットして、とか、自分がここで本当に体験してることを曲にして語りたい。今日で滞在3日目だけど(取材時)、すでにいろんなことをやったわ。

 

―また日本に来るのをお待ちしてます!最後に、Reneeさんにとってヒップホップ とは?

私にとってヒップホップとは、カルチャーであり、楽しくもあり、反逆性もある、そして自分の正直な気持ちを伝えるものね。


Renee Couto

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