GRILLZ JEWELZ

開店: 2005年4月

業種: ジュエリー小売り

地区: 台東区御徒町

オーナーのモットー: お客様にご満足いただける商品を!

Text & Photo: Atsuko Tanaka

オーナーの秋本は茨城県出身。中学生の頃に聴いたスリック・リックやLL Cool Jをきっかけに、ヒップホップにどハマりした。高校卒業後に上京し、3年ほどサラリーマンをしていたが、昔から好きだったジュエリーを作る仕事につきたいと思うようになり、会社を辞めてジュエリー工房に入る。そこで基礎から技術を習得し、3年後に独立。GRILLZ JEWELZ(グリルズ ジュエルズ)を立ち上げ、ネット販売のみでスタートを切った。

そしてその2年後、実店舗をジュエリータウンとして知られる御徒町にオープン。今は日本人ラッパーの間でも馴染みの深いグリルだが、当初はあまり認知されていなかったため、苦労は絶えなかったと言う。

―店をオープンした経緯について教えてください。

グリル自体が日本に浸透してない頃から、SOURCEマガジンの広告に載っているものや、スリック・リック、ウータンとかが付けてるのを見て、自分も付けたいと思って見よう見まねで作ってました。当時働いていた工房でグリルを作らないかと提案したこともあったんですが、興味を持ってもらえず、それなら自分でやろうと思って会社を辞めて独立して。最初はネット販売のみで始めたけれども、グリルのことをみんなよく知らないし、実際に見てみたいという声を多くいただいて、サンプルも見れて注文もできるショップをオープンすることにしました。

 

―店のコンセプトは?

NYのダウンタウンにあるような、下町のジュエリーショップ。銀座にあるような高級な感じではなく、敷居が低くてストリートの子たちも入ってこれるようなお店ですね。

―店のおすすめアイテムは?

ネックレスや他のジュエリーもありますが、やっぱりグリルです。

 

―今までに作ったグリルで、一番作りがいがあったものと言ったら?

個性的なアーティストが依頼してくれるグリルは、自分では思いつかないようなデザインが多くて、中でもKOHHくんはユニークで変わったものを頼んでくれます。特に一番印象深いのは、7、8年前くらいに作ったオパールを使ったグリル。その頃は、宝石を入れるんであればダイヤモンドをぎっしり入れるみたいなのが主流だったので、すごい覚えてます。

KOHHに依頼され作成したオパールのグリル ©️GRILLZ JEWELZ

 

KOHH ©️GRILLZ JEWELZ

―確かにダイヤモンドのような石を使ったものと比べると、受ける印象が全然違いますね。海外も、当時はまだこういうテイストはなかったですか?

今では普通に使われてますけど、当時は僕が知ってる限りはなかったですね。やっぱりどれだけギラギラさせるかっていう感じが多かったと思います。オパールはギラギラはしないけど、光の角度によって色が変わったりするので、そういう見え方は新しいと思いました。グリルに限らずですけど、デザインも色々出つくしちゃってるんで、みんな今までにないものを探してますね。

 

―日本だけでなく、海外のラッパーのも色々と手がけていらっしゃいますよね。

海外アーティストで一番最初に作ったグリルは、 A$AP Bariの、中国の陶器をイメージして絵を描いたものです。僕はこういう絵付けはできないので、絵師さんに頼んで描いてもらって。これもオパールとは違った新しい感覚のグリルで、衝撃的でした。その後、BariがRockyに話してくれたみたいで、彼に作ることになったんです。自分がやった中で一番ビックなアーティストだったし、緊張しました。自分はすごい気が弱くて、これでいいのかなとか色々考えちゃうんで。

 

ーデザインに関しては、Rockyの方から何か注文があったんですか?

最初に作ったものは、僕がRockyをイメージして花を入れたデザインを考えました。それでサンプルを見せたら気に入ってもらえたので、そこから作った感じです。その次は彼の方から炎をイメージして作ってくれと言われて作りました。上下で炎の柄になっているのはそれまでになかったし、実際に付けているのを見てもちゃんと綺麗に炎が出てるように見えるので、自分でも良く出来たと思っています。

A$AP Bariに作成した、中国の陶器をイメージして絵付けをしたグリル ©️ GRILLZ JEWELZ

A$AP Rockyをイメージして、ダイヤモンドと押し花を入れたデザインで作ったグリル ©️ GRILLZ JEWELZ

A$AP Rockyのリクエストで、炎をイメージしたデザインで作成。ダイヤモンドとサファイヤを使用 ©️ GRILLZ JEWELZ

―では、今までに店で起きた出来事で、一番クレイジーなことは何でしょう?

17年前にグリルがほとんど認知されていなかった日本でこのショップをオープンさせて、今まで続いていることが一番クレイジーです。店をオープンする前は、勝手にすごい繁盛すると思い込んでいたら、オープンから何日かは誰も来なくて。苦労話をするわけじゃないですけど、10年くらいはグリル屋だけでは食べていけないから、夜にバイトをしながらやっていたんですよ。今思い返すとよくやったなって思いますね。でも、一番嬉しかった出来事は、店をオープンして少し経った頃、突然YOU THE ROCK☆さんが来て、その場で注文して作ってくれたことです。そこから口コミでいろんなラッパーたちからオーダーをもらうようになったので、YOUさんにはすごく感謝してます。

 

―いい話ですね!店をオープンしてしばらく大変だったのに辞めなかったのは、やっぱりグリルが好きだったからですか?

グリルって、実際に付けた時に見え方がグッと変わるんで面白いんですよね。指輪やネックレスって、付ける人によって印象が変わるとかってそこまでないじゃないですか。その点グリルは、歯に付けた時に生きるというか、パワーが強いジュエリーだなって思って、ハマってしまったんです。もちろん、その人にしか付けられないもので、特定の歯にしか使えないものだし、そういう魅力はあるかなと思いますね。

―では、店付近のエリアについて教えてください。

昔からのアメ横の闇市の影響で、御徒町にジュエリー系の問屋街が発展していったと思うんですけど、基本的には宝石とか金の問屋があって、職人さんもたくさんいます。なので、ジュエリーを作る上では最適な場所です。ただ、僕が店を開いた当初から、昔ながらの宝飾屋さんしかなくて、若者が来るようなジュエリー屋が全くないんですよね。そういうのをちょっと変えたいと思って、ここに出店したというのもあります。今後は、少しずつ若い方が買えるようなショップが増えていくと思うので、変わっていくと良いですね。

 

―今度、ここを初めて訪ねてみようと思っているお客さんにメッセージをお願いします。

入店しにくい雰囲気があるかもしれませんが、そんなことはありませんので、どうぞお気軽にご来店いただければと思います。

 

―とても低姿勢ですね(笑)。

僕の見た目がこんな感じなので怖がられるし、店の雰囲気も、何も知らない人からしたら入りづらいと思うので。


―では最後に、一番好きなラッパーを教えていただけますか?

難しい質問ですね(笑)。いっぱいいますけど、やっぱりブーキャンのショーン・プライスかな。彼の見た目も好きで、影響されて髭を生やしてるんです。今でもずっと聴いてます。


GRILLZ JEWELZ

Address: 東京都台東区上野3-4-1-1F

Phone: 03-6883-1762

営業時間: 12:00~19:00(定休日:水曜)

Website: www.grillzjewelz.jp

Instagram: :@grillzjewelz